愛のことは      もう仕方ない


枡野浩一さんが描いた「愛のことはもう仕方ない」を
やっとこさ読んだ。
ずいぶん前から家の本棚に並んでいたけど、なかなか読まずにいて
やっと読み始めたと思ったらすぐに読み終わっちゃってなんだか淋しい。

ここから買える

お仕事の待ち時間に控え室で読んでいたのだけど、
とても朝が早くて、6時くらいから仕事を始めて、
めちゃくちゃ寒いし朝も早かったし、だけどとても爽やかな撮影現場で
すごく穏やかなホクホクした気持ちで読んでいたら
メイクさんが「何読んでいるの?」と声をかけてくれて、
「こういう本!」って表紙を見せたんだけど、
こういう本ってなんだよって思うし、
やっぱりどうしても話しかけてもらうと緊張しちゃう。
そのメイクさんとはこの日が初対面で、出会ってまだ3時間くらいだった。
「どうしてウサギがいるの?」と聞かれたけど
まだ読み終わってないし、ウサギがいる意味はわたしにもちょっと分からなくて
「あ〜なんか・・性の話が出てくるからですかね?」
ですかね?って、わたしが質問されているのに質問を質問で返ししちゃったし
吉良吉影に殺される・・やだどうしようどうやって会話したらいいのか全く分からない。
「小説なの?」
「どんな作家なの?」
「好きなの?」
どんどん質問してくれる優しいメイクさん。
「どんな話なの?」
どんな話・・・

だめだ。
ここで吃ったり口をパクパクごにょごにょさせたら、おかしなことになる。
まだここから10時間以上仕事をするのに、だめだ。
高校生の頃、急に話しかけてくれた男子の質問に吃りまくるわたしになっちゃだめだ。
めちゃくちゃ焦った。
どんな話なんだろう。メイクさんはどんな人なんだろう。
誰かに何かを紹介するとき
「あなたもこれを好きになりますように」
そんな祈りの気持ちがある。あるよね?
相手が友達だったり恋人だったり、過ごしてきた時間がある程度あれば、
なんとなく相手のことがわかっていれば、
あなたの為の説明ができるのに。
わたしはメイクさんのことを何も知らないから、この本のどこをどんな風に掬えばいいか
全く分からない。朝も早いし完全に脳も止まったし。
本だ本!本を見ればいいだろ!本があるんだから!
読んでいるページをバッと見るとガバッと単語が目に入ってきてこれだと思った。
「なんか、この作者の人がインポなようで」

間違えたと思った。
控え室にいるのはわたしとメイクさんだけじゃないし、
朝10時からインポって言う女、わたしはちょっとやだ。
でも次の瞬間には、間違えたって思った自分に引いた。
間違えたってどういうことだよ。
それって、インポの人に失礼だし、インポをどう思ってるわけ?
次の瞬間には、インポの人に失礼って思っている自分にゾッとした。お前誰だよ。
もうわけがわからない。目が回る。
自分の気持ち全てがくだらなくて最低な気がしてくる。
何を思っても、その気持ちへの憎悪が湧いてくる。
その憎悪にも憎悪して終わりがない。何か言ってくれメイクさん。

「え、僕もインポ〜!」
神かと思った。
こんなお返事があるなんて。あ、インポなんですか?
てっきり困らせてしまったと思っていたけど、彼はニコニコわたしの話を聞いてくれてて
そうだわたしは人と話をしているんだ。
人と話をするってなんて素敵なんだろう!
ていうか、わたしは人と話している最中に何をくよくよ1人で考えていたんだろう。
とても良くない。何様のつもりだ。一人ぼっちでいる気になるなよ!
ってまた説教を始めちゃいそうで、でもそんなの家に帰ってからすればいいし、
今は目の前にいる今日出会ったこの人とお話をしよう。
そんな素敵な気持ちになりました。

本を読んでいるわたしの側にも物語が生まれるなんて
なんていたずらな本なのかしら!
いたずら好きの皆さんは是非読んでみてほしいなと思って、
感想を書こうと思ったのに気づけば日記でした。
今からノートに日記を書いて寝るね!おやすみ!





1 コメント:

  1. 見事な書評です。
    思わず、amazon で ポチりました。www

    枡野浩一さんの
     『てのりくじら』
     『ドレミふぁんくしょんドロップ』
    も たまらなく好きな作品です。
    あのTシャツ もう一度やらないですかね!?

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